06 / SWIM 8000万年前の海へ
白亜紀の海に、あなたの体は8000万年ぶりに戻ります。目当てはプランクトンです。
先に言っておきます。たぶん、思いどおりに動けません。体は勝手に回るし、下を向けないし、噴射するたびに疲れます。
それがバグではないところが、この遊びの中身です。この不便さはぜんぶ、研究で分かっているニッポニテスの体の性質から来ています。遊んだあとに、なぜそうなのかを読めます。
操作の制約は、すべて Peterman, Mikami & Inoue (2020) が INM-4-346 のCTから計算した静水力学的性質から取っている。遊びにくさは、そのまま研究結果である。
速度・スケール・餌の密度などは体験のために調整してあり、数値シミュレーションではない。再現しているのは「何ができて、何ができないか」の関係だけである。
スペース=噴射 / ← →=漏斗を曲げる
ふわふわ光っているのがプランクトンです。口の正面に入れると食べられます。
口はいつも水平からやや上を向いていて、下は向けません。
PCのブラウザ推奨。スマートフォンでは画面をタップすると噴射します。
噴射する。後ろ向きに進み、同時に体が回ります。好きな方向へまっすぐは進めません。
漏斗を左右に曲げる。曲げるほど「その場で回る」に寄り、曲げないほど「後ろへ進む」に寄ります。
上下は操作できません。口の向きは固定です。上のプランクトンは取れますが、真下のものは取れません。
噴射する場所が、体の回転の中心からずれているからです。まっすぐ進みたくても、力の一部が回転に化けてしまう。U字の折り返しが発達すると、漏斗(推力の出どころ)が浮力中心と重心を結ぶ鉛直軸から外れ、てこができる。2020年の計算では回転推力角がおよそ135°——純回転(90°)と純並進(180°)の中間に落ち着く。
水を吐き出す管の向きを変えると、回るか進むかを選べます。論文はこう述べる——漏斗を左右に45°曲げられたなら、生きたニッポニテスは純粋な回転と純粋な並進を選べた可能性がある。ただしアンモナイトの軟体部と推進機構は大部分が不明であり、これは仮定を含む。
生きていたときの口の向きは、水平からやや上でした。下を向く姿勢は、成長のどの段階にも見つかっていません。開口の向きは成長を通じて約 −11°〜+99° の範囲で振動し、大きく下を向く段階は現れない。しかも肋が斜めであることが、開口をおよそ10°ぶん上向きに補正している。
姿勢がとても安定していて、外から押されても戻ります。かわりに、自分では傾けられません。静水力学的安定性指数は成長を通じて約 0.10 → 0.07。現生オウムガイのおよそ0.05より一貫して高い。安定性が高いほど姿勢は保たれるが、自力で姿勢を変えるのは難しくなる。
派手に動きまわる生き物ではありませんでした。ゆっくり回りながら、まわりの小さな餌をすくう暮らしです。論文の結論は、流線形とのトレードオフの結果として 低エネルギーの暮らし——ゆっくり回りながら(pirouetting)水中の小さな餌を探す——だった、というもの。体力ゲージはその含意を体験に翻訳したものである。
浮きも沈みもしない状態でいられました。だからこのゲームには重力がありません。14の成長段階すべてで中立浮力が可能で、気室の液を約3〜28%残すことで釣り合う。海底に縛られてはいなかった。
正直に書いておく。これは流体シミュレーションではない。抗力は簡単な減衰として扱っており、渦も付加質量も計算していない。速度・体のスケール・餌の密度・体力の減り方は、遊べるように調整した値である。
再現しているのは「何ができて、何ができないか」の関係だけ——回転と並進が分離できないこと、姿勢が固定されること、下を向けないこと、低出力であること。そこだけは論文に従っている。
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